TV出演して思うこと。正直、ネットに比べ、情報発信の作り手と受け手のコスパが悪すぎる。

今朝は、先ほどまで、フジテレビの新報道2001に生出演していました。

バブル期景気と比較したいまの景気の話やレッドラインについて討論をしてきたのですが、とにかく感じる事は、別のこの番組に限らず、

テレビというフォーマットが、コストパフォーマンスの観点からみると、作り手も受け手も、効率が悪すぎるのではないか

ということです。

番組自体は55分間ですが、私は家を5時40分に出ていて、家に戻ってきたのが9時ですから、 総計で3時間20分、当日、使っていることになります。さらに別の日に打ち合わせをしていて、そこでも55分使っていますので、合計で4時間15分です。

そして4時間15分を使って、伝えられたメッセージは、おそらく、発言が4回くらいで、合計時間がそれぞれ1分半としても、6分といったところでしょう。

なぜなら、55分間の番組の放送の中にコマーシャルもありますし、VTRもありますし、他にも司会が3人、私以外のコメンテーターが4人いますから、6分ぐらいが限界です。よく話をさせてくれた方だと思います。

新報道2001の視聴率がだいたい4~6%くらいのようですので、日本の世帯数が約5千3百万ですから、200~250万世帯の人が見ている、ということになります。で、恐ろしいことに、これ、視聴者層そのものはちがうものの、

私が、Twitterやブログ、Facebookで流す視聴者数と、数的にものすごい差があるわけではない

のです。もちろん、私のTwitterのフォロワーがすべて読んでいるわけではないし、月間のアクセス数もさすがにまだ200万にはなっていないので、そこまでの広がりはないかもしれませんが、それでも、

×二桁違い

〇せいぜい一桁違い、そして、たぶん、私がターゲットとしている層では大差ない

可能性が高いのです。

もちろん、メディアによって役割が違いますので、必ずしもテレビとネットを並列で語ることはできないでしょう。

ただ少なくとも

画像ほとんど必要としない情報発信であり、かつ、特定の人の考え方や発言だけを集中的に聞きたい

という場合には、ブログやネット検索の方が、はるかにコスパが良くなっています。

では、どういう人がテレビを情報収集の主軸にして、どういう人がネットを主軸にするのかということをいつも観察しているのですが、やはり、最も大きいのは

それぞれの個人の環境が、どれだけ潤沢なネットの容量と、画面の大きさを使えるか

に左右されていると感じます。

情報と言うのはある意味食べ物と同じですので、常に私たちがそれを欲しがっています。問題は、自分の環境でどのような情報収集の方法が本人にとって1番楽かと言うことです。

私の家はもう、ずいぶん昔から光を引いていて、無線LANが家中に飛んでいるのと、娘たちは私のおさがりのノートパソコンをいつも持っていたので、私も、娘も、テレビを見る習慣がほとんどありません。

一方、大人でも、子どもでも、潤沢にネットを使える環境がない場合、もっとも安価な情報収集はテレビなので、自然とテレビから情報収集をすることになるでしょう。PCやタブレットがなくスマホを持っていても、そのスマホの通信容量を気にしてる場合は、無意識にあまりネットを積極的に使わなくなります。

例えば、格安SIMは年収が高い人ほど移行率が高いというデータがあります。

結局これはもう、完全に情報デバイドの問題です。テレビを見ている限り、ほとんど格安SIMの情報は目に入ってきません。一方、ネットをメインにしていると、格安SIMの情報が入ってこない日がありません。

そして、格安SIMに移行できた人はますますコストパフォーマンスの良い通信で家計を節約しながら、他のものにお金が使えるので、情報をたくさん集められることになります。

これは格安SIMが事例としてわかりやすいのであって、格安SIMだけではなく、生活品や家電、旅行費用など、いろいろなものに影響してるはずです。

テレビ業界の人は、ネットに対抗するため

生放送やライブ感を重視

する方向に番組企画を移しているそうです。またタイムテーブルにも大変気をつかって、どのような時間帯で誰がどのようなコンテンツを見たいかということを考え、生放送を地上波をその瞬間に見ると言うことに最適化しようとしているのです。

しかしこれは明らかにネットや将来的な情報収集方法と比べると、真逆の方向性です。生放送の方が編集放送よりも質が下がりますし、すきま時間に様々な情報収集したいので、ライブでとらわれるのは視聴者にとって都合が悪いのです。

そして難しいのが、政治家やメディアの上のほうの人が、この情報デバイドの問題について、本当にどこまで深刻に考えているか、その悲壮感が伝わっていないと言うことです。

今の、富めるものはますます富む、の状況の背景には、情報量の格差があります。私はテレビでメインの収入を得ているわけではないので、新報道2001でも

上の世代と下の世代が違う国に住んでると思うぐらいライフスタイルが違うんです。

正直、このテレビ観てる人の平均年齢は私の予想だと60代でしょう。実際に10代20代の人達は地上波を観る習慣が全くないんです。

若者はビデオサービスを見るかYouTubeを再生する形になります。

というコメントをしました。生放送の地上波でこんなコメントをする人はほとんどいないので、SNS系ではよく言った、という声が上がっていて逆に驚きました。私は、もうずっとそれを感じているからです。

そしてこのような情報ギャップやジェネレーションデバイドが、大企業では若年層が活躍ができないという鬱屈感をもたらしていると考えています。幹部は、若年層がやりたいことをネイティブで理解できません。また、古い既存の顧客を大事にしすぎているため、新しいことができません。

なぜ新興企業系、特にIT系の企業の成長率が高いかと言うと、社内にも、顧客にも、成長を阻害するようなオールドジェネレーションがいないからです。

勘違いして欲しくないのは、オールドジェネレーションでもネットに親しく生産性が高い人もいれば、若い人でも潤沢な情報を持てない人もいます。ただ、年齢はやはり大きなファクターだということです。

ネットがまだほとんど普及していなかったバブル期の頃は、そういった情報格差も限定的だったのですが、今は下手にネットがあることで、あまりにも情報収集や発信に対するコストパフォーマンスが、個々人の環境によって変わってしまっていると考えます。

これを社会問題と捉えてどう解決するかは、正直私にはわかりません。ただ自分自身は情報格差が生活格差につながると言う強い危機感があるので、それで、多くの人が驚く位

  • 食卓のパソコン
  • 仕事部屋のパソコン
  • 台所のパソコン

と設置してあり、パソコンが置いていない寝室と浴室にはiPadを置いてあります。

これは何故かと言うと、情報にどれだけ簡単にアクセスできるかによって、無意識での情報の蓄積が変わるし、またその蓄積によって仕事の生産性や生活の生産性の差が生まれてしまうと考えているからです。

テレビが今後、ネットをしのぐような情報生産性の高いメディアに生まれ変われるかどうかわかりませんが少なくとも番組単位では今後そういうものが出てくるのではないかと期待しています。また、自分が出る番組はそういったものに近づけていきたいと思います。