「今からでも親指シフトを習うべきですか」という質問に対する、現在の私の考え方

相変わらず根強いファンがいる親指シフトの入力方法ですが、最近では特に若い人はそのような入力方法があると言う事を知らない人も増えていきました。

私が10代の頃にワープロやパソコンを覚えた頃は、キーボードの練習帳みたいなものを買いに行くと、ローマ字入力、JISカナ入力と並んで、普通に親指シフト入力がありまして、比較的当時はメジャーな入力方法だったのです。

オアシスという富士通のワープロも基本的には親指シフトのワープロが主流でして、そうでないワープロは珍しいという感じでした。なので、PC9801に繋がるアスキーボードという外付けの親指シフトキーボードがあって、富士通以外のパソコンも親指シフトが選べるようになっていました。

親指シフトそのものはローマ字やカナ入力に比べると打鍵数も少なく間違えも少なく入力効率が良いと言うことについては異論はないと思います。ただ、この親指シフトの最大の難関は何かというと

「習得スピードにばらつきがありすぎる」

ということに尽きると思います。そして、その習得スピードが自分のとれる許容範囲だと思えば移行すればいいし、それをちょっとやってみて越えると思えばやらなくてもいいのではないかというのが私の現在の結論です。

私は12歳の時に初めてパソコンを買ってもらい、そして高校生ぐらいからパソコンの日本語入力ができるようになってきたので、当時はかな入力やローマ字入力を使っていました。

19歳になった頃に、富士通しか使えないと思っていた親指シフト入力がNECのPC9801でも使えるということを知ったので、アルバイトしたお金で外付けのキーボードを買ってきまして、練習を始めたのです。

そして、どうも私はエレクトーンをずっと弾いていたせいなのか(エレクトーンは右手と左手と足を同時に操作をするので1度に違うことを右手と左手で同時にすることに慣れていました)、比較的もともと指先が器用だったせいなのか、理由はわかりませんが1週間ぐらいで大体の親指シフトのキーボードの位置を覚えてしまい、数週間もすればローマ字入力よりもずっと速くなったので、それ以来ずっと親指シフトを愛好しています。

2008年に私が出版した、年収10倍アップ勉強法という本の中で、この親指シフト入力の方法を提唱したところ、2008年頃までにはすっかりもう親指シフトはメジャーではなくなっていましたので、知らない人が多く結構な人が、ローマ字からの移行を試みてくれました。

そして、親指シフトにうまく移行できた人は、その後、普段のメールのやりとりや仕事上の文章の作成あるいはブログの作成にもとても役立っていると言って喜んでくれた人が多かったと感じています。

ただ、親指シフトにうまく移行できたとしても、その習得スピードにはばらつきがあり、それこそ数週間で出来るようになった人から長い人では半年間かかった人もいます。

特にその移行期間中のストレスというのは結構大きなものがあるみたいで、ついついローマ字入力に戻りそうになるのをなんとか親指シフト入力を繰り返していくうちに、どこかで逆転するのですが、その逆転までの期間がその人に取って許容範囲内かどうかということがポイントになると思います。

一応私は今でもローマ字入力は打つことができます。なので、AndroidでSimejiで音声入力をしてる時には、Simejiと親指シフト入力をいちいち切り替えるのがわずかな文章の時には面倒くさいので、だいたいざっくりと音声で入力してしまって、音声入力がうまくいかなかった部分についてのみ、ローマ字入力で修正をしています。

一方、Androidしか持っていなくて、しかも出先で音声入力ができない環境においては最初から親指シフトを使ってしまった方が早いので、フルフルで親指シフトを使うと言うように使い分けてるわけです。

自宅でウインドウズパソコンが使える時はウインドウズを親指シフトに固定して音声入力をAndroidで入れてるので両方を併用することができています。

というわけで、音声入力が、自宅や仕事場でも使える環境がある人にとっては、親指シフトは音声入力に比べると身についていた方がいいけれども、音声入力の修正ぐらいであればローマ字入力でも十分ではないかと思っています。

しかし、職場やモバイル環境などであまり音声入力が出来ない状態において、大量に、1日例えば1万字前後以上の文章を書く人にとっては親指シフトをチャレンジする意味は十分にあると考えています。

あとはどのぐらいの期間を習得の移行期間に割り当て、その移行期間が許容範囲内かどうかを判断してもらうのがいいかなと考えています。