「男性性を競う文化」をより中立的なものに変えたい。

元旦もシフォンケーキを焼いていました。そして、この記事は、シフォンケーキの話を詳しくしたかったわけではなく、これから1年間、そして10年間のテーマについて共有するため、書きました。なぜ、写真がシフォンケーキなのかは後で出てきます。

最近、もっとも衝撃的だったのはこちらの記事です。

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ずっと心の中にあったもやもやしたことが文字化されていました。長い間男女共同参画会議の議員も務めていましたし、女性活躍についても自分自身としても、あるいは周りの人にもアドバイスをしてきましたが、ずっと引っかかっていたことは何かというと

「『社会で活躍』する場合は、男性性を競う文化を前提とした評価基準や社会規範に女性も合わせなければいけないこと」

でした。

国際文化を比較するホフステッド指数でも、日本の男性性の強さは103カ国中2位とぶっちぎりの高さで、これが女性の進出を妨げていると考えています。

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長時間労働はその典型ですが、他にも企業の管理職や議員のようないわゆる社会のリーダーになろうとした時にも徹底的にその男性性を要求される訳です。

そして、その競争はどうしても男性により向いている競争基準として出来上がっています。私がよく言う、ゴルフ競技のようなものです。

ゴルフは、筋力の違いがあるのだから、女性と男性がゴルフボールをクラブで打っても飛ぶ距離が全く違うのに、同じゴルフ場でプレーをしなければいけない、そして女性にはわずかに優遇されてるものの元々筋力差ほどはゲーム内容が優遇されていません。そのため、平均的な女性は平均的な男性よりも10打以上スコアが悪い傾向があります。

なぜシフォンケーキを冒頭で取り上げたかというと、一部のシェフのような男性を除いて、やはり平均的には女性の方が平均的な男性よりも器用な傾向があります。私は筋力は平均的な女性並で、長時間労働は嫌いですが、このシフォンケーキのような作業はとても好きです。しかし、どんなにシフォンケーキが上手に焼けたとしても、現代において、ビジネス上の評価で役に立つ気が全くしません。

下記の本を読んでいて、とてもびっくりしたのは、女性と男性では皮膚の触覚の繊細さが全く異なるということです。3種類の布を用意して、1種類だけ、ミクロン単位でわざとザラつきが大きくなるようにしていた時に、男性はそれを触ってもランダム以上にはどれがそれかということがわかりませんが、女性はほぼ全員当たるそうです。

あるいは、色についても、何色まで見えるかというテストがありますが、これも男女によってずいぶんと見える色に差があるそうです。こちらも、平均的には女性の方がはるかにたくさんの色を識別できます。

各種色覚系テスト、色数を見抜いたり、グラデーションを並べ替える系ですが、私は特に自分が色彩感覚が強いとも思っていませんし、デザイン系の職業でもありませんが、確かに、特に苦労することなくだいたい全部できます。

例えば、こういうものです。こちらも色の並べ替え、フルスコアで正解でした。

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しかし、ここで説明してきたような皮膚感覚が強いとか、色彩がよく見えるということについて、例えば今現在、企業内で出世するのに役に立つかというと、相当微妙です。

もちろん、これは女性と男性の能力の差の一例でして、これだけが全てというわけではありませんが、それぞれ様々な人が様々な形で能力の凸凹があることに対して、男性性という特定の能力の凸がある人だけに向くような競争形態を見直したいということなのです。

もちろん男性が優位な能力について否定するわけではありませんが、男性が優位な能力ばかりがあまりにも重視されることで、男性自身も辛くなるし、女性も無理にそれに合わせなければいけないという状態をもう少しなんとかできないか、と考えています。

そして、まずは日本がその状態だということについて1人1人が認知することが必要だと思います。日本でも、男性性が強くない人が、男性でも、女性でも、もっと活躍できる状況を作る一助を担いたいです。

それが私の今年の、そして、今後10年の抱負です。