私が毎日使っている、「井上 古式じょうゆ」の故郷、奥出雲の井上醤油店を訪ねてきました。しょうゆの作り方、いろいろ目からうろこ

夏の休暇は、中国地方をぐるっと回っています。そして、初日のハイライトは、私が毎日つかっている、こちらのしょうゆの製造元である

井上醤油店を訪ねることでした。写真は、井上醤油店の井上裕義社長です。出雲大社に行くので、そうだ、出雲まで行くのだから、

「毎日使っているしょうゆがどうやっ出来上がっているのか、知りたい。奥出雲に井上醤油店を訪ねよう」

と決めて、見学をお願いしたところ、快く承諾くださいました。ありかとうございます。

社長自ら、井上醤油店の製造や流通の考え方、大手しょうゆ製造メーカーとの違いを説明してくださり、そして、製造工場も見学させていただきました。

そして、大手との一番の違いはなにかというと

「あえて、醸造過程の多様性を大事にしているところ」

だそうです。

大手のしょうゆは、製造のばらつきを防ぐため、初めからもろみのpHを調整するため乳酸菌を入れたり、あるいは、醸造する麹も無菌化された工場で均一のものを使い、かつ、最後まで機械で絞り切る、という過程を取っています。

一方、井上醤油店は、

「醸造過程をなるべく自然の力に任せて、人間が極力介入しない」

という方法をとっています。なので、もろみのpH調整は行いませんし、酵母も江戸時代から続く木造の醸造所の中で、奥出雲の素敵な自然と長い間に蓄積された常在菌と酵母の素晴らしいバランスの中で生まれた力に任せています。

できあがったしょうゆも、基本的には自然絞りを中心にして、機械絞りは最小限しか行いません。

結果、菌の多様性も生まれ、できあがったしょうゆも極端に品質管理された均一の工程ではでないような深みのある味になります。

ただ、このやり方ですと、製造量に限りがあるため、大手スーパーなどからはもちろん引き合いがあるのですが、まったく供給できないため、限られた販売元にしか卸せていないそうです。

また、しょうゆの瓶をペットボトルではなくガラスにするのは、光を通さないようにすることと、さらにガラスの材料であるケイ素としょうゆが触れ合うことで、よりおいしくなるからだそうです。

私はとにかく、さまざまな料理教室の時には

「調味料はいいもの、伝統的工法でじっくりつくられた添加物のないものを使ってください」

と言い続けているのですが、それはなぜかというと、出来上がりにもっとも影響する要素の一つだからです。

そして、しょうゆに関しては、私の一押しが、こちらの井上古式じょうゆ、なのです。

おいしいということはとにかく食べるとわかるのですが、なぜおいしいのか、詳しい理由を知らなかったのですが、それが

「過度に無菌化や標準化がされていない、伝統工法を使うことにより、複雑なうまみを自然の力で実現していること」

と知って、目からうろこが落ちました。

特に、醗酵室の静寂な雰囲気と気持ちのいい波動は、ずっとここに居続けたいと思うくらいでした。

アマゾンでも売っていますし、私の近所のスーパーマーケットですと、紀伊国屋やリンコスにはありますので、ぜひ、味の違いを試してみてください。